記憶を残す再開発~渋谷の新風景

 かつてはあたりまえのように眺めていた東京の風景が、久しぶりに出かけてみると、すっかり変わってしまっていて、浦島太郎のような心境になることがあります。その代表例ともいえるのが渋谷です。現在再開発の真っ最中で、馴染みのある風景が次々と失われ、全く別の町になりつつあると言ってよいでしょう。
 先日、といってもひと月ほど前になりますが、東京へ出かけた折に、渋谷駅周辺を徘徊してみました。驚いたのは、渋谷川沿いの高架線を走っていた東横線の跡地を利用した再開発が進展し、実にユニークな街区が誕生していたことです。
 駅跡地の一部には、東急渋谷駅の象徴でもあった逆三角形のような外壁のデザインがそのまま取り入れられ、旧駅の面影を留めるような工夫がなされていました。そこから続く旧線跡の商業施設「渋谷ストリーム」の真ん中にはレールが敷設されていて、鉄道の跡であることがわかるような仕掛けになっています。更にその先、渋谷川沿いの遊歩道化された部分には、かつての高架線に用いられていたと思われるコンクリート片が、モニュメントのように配置されていました。代官山に近いエリアでは、線路跡地に建てられた複合施設「渋谷ブリッジ」のベンチがレール形をしていたり、柱の装飾画が東横線の懐かしいシーンであったりと、「ここに東横線ありき」というコンセプトで全体が統一されていることに、感銘を受けました。
 再開発というと、かつての痕跡を完全に消し去ってしまうことが多く、それでは地域の歴史が後世に伝わらなくなってしまうと嘆くことの多いポン太ですが、このような形であれば大歓迎です。浦島太郎も途方にくれずに済みます。その昔、渋谷駅の総合駅化を推進し、渋谷=東急の町というイメージをつくりあげた五島慶太氏も、草葉の陰で喜んでいるのでは、などと余計なことまで考えてしまいました。

 東急渋谷駅(旧駅)跡の現在の姿です。この壁面、懐かしい感じがします。
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 地下化される前の東急渋谷駅はこのようでした。
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 再開発で出現した「渋谷ストリーム」へ続く通路には、レ-ルが埋め込まれていました。
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 商業施設の中をレールが貫いています。
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 線路を見ながら一杯? いい雰囲気じゃありませんか。
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 渋谷川沿いの遊歩道にもレールが設置されていて、ここが東横線の旧線跡だと気づかせてくれます。
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 「渋谷ブリッジ」へと続く遊歩道には、レールはありませんが、芝生の中に置かれている「石」は、かつての高架線のコンクリート片のようです。
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 「渋谷ブリッジ」のレール形をしたベンチ? こういうこだわり、嬉しいですね。
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 柱には郷愁をさそうような装飾画もありました。
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 ここはニューヨークの地下鉄? 壁の案内板もお洒落です。
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