山城を攻略~砥石、米山、枡形城

 体力なし、技術なし、気力なしの古ダヌキにとって、冬場に山歩きが可能なのは低山のみ。同じ山ばかりではさすがに飽きてしまいますので、できればまだ足を踏み入れたことのない山に登りたいもの。しかし、浅間山麓とその周辺の山は、ほぼ行き尽くしていますから、この時季に登って面白そうな低山はなかなか見つかりません。そこで目を付けたのが山城です。戦国時代の山城は、実戦に備えて険しい山の頂につくられていることが多いので、史跡めぐりを兼ねた山歩きが楽しめるのではないかと考えました。
 上田市近郊の伊勢山という地区に、砥石(といし)城という山城があります。地形図によれば、山の標高は788.7m、頂上には三角点が置かれています。戦国時代の歴史が好きな方ならご存知と思いますが、砥石城を攻略しようと攻め寄せた武田信玄が大敗し、「砥石崩れ」などといわれている戦い(天文19年=1550年)が行われた場所です。単独の山城ではなく、すぐ隣の峰には米山城があり、砥石城から尾根伝いに北へ進むと、「本城」と枡形城があります。これら一群の山城によって、強固な山岳要塞が形成されていたのです。麓の集落と最高地点である枡形城の比高は約200mありますし、すべての城跡を見て回るとおよそ2時間の行程となりますので、それなりの山歩きができます。
 ここを守っていたのは、葛尾城(現在の坂城町)を本拠地とする豪族、村上義清配下の諸将でした。実際に歩いて見れば、この山城を正攻法で攻め落とすのは至難だということがよくわかります。しかし、「砥石崩れ」の翌年、信玄の命を受けた真田幸隆(昌幸の父であり、幸村の祖父)の調略によりあっけなく陥落してしまいます。「乗っ取り」ともよばれるこの戦功で、幸隆は信玄の信頼を得、武田の有力な家臣になったということです。調略、謀略、寝返り等、何でもありで戦国の世をしぶとく生き抜いた真田一族。その戦いの原点がここにあったのかと思うと気分が高揚します。
 ちなみに、砥石城陥落の2年後、武田勢に攻められて葛尾城を追われた村上義清が、越後の上杉謙信に助けを求めたことから、あの有名な川中島合戦が起きたわけです。義清は落城寸前の葛尾城から奥方と侍女たちを逃がしました。その一行が千曲川を渡ろうとした際、危険を顧みずに船を出してくれた船頭に感謝し、船賃のかわりに、髪に挿していた笄(こうがい)を与えたと伝えられています。そのことから、「笄の渡し」という名がついたという話を、ポン太は子供のころに、(現在の千曲市出身の)父親から何度も聞かされました。そんなことから、この地の戦国時代がとても身近な気がしていたので、この山城めぐりは、単なる山歩き以上に楽しいものとなりました。

 砥石城南側の櫓門というところから入山しました。駐車場、トイレが整備されていて、立派な案内板もありました。これはその一部ですが、砥石城というのが、単独の山城ではなく、いくつもの山城で構成されたものであることが、よくわかります。
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 登山道の入口にはこんな石碑が。登ってみれば、確かに「なめんなよ!」です。
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 登山口の櫓門はまったくのイミテーションですが、山城に登るぞという気分にはさせてくれます。
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 登山道から見上げた砥石城です。美しい松林に囲まれています。
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 最初にむかったのは米山城。頂上直下には滑りやすい箇所もあり、なめてかかると痛い目にあいます。
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 米山城跡に立つ村上義清公の碑です。武田信玄を二度も撃退した英雄として、敵味方の違いはあれ、真田一族とともにリスペクトされています。
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 米山城の標高は734m。この一帯の山城群の中では最も低いのですが、見晴らしは抜群で、敵の動きが手に取るようにわかったのではないでしょうか。天気がよければ富士山も見ることができるようです。
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 米山城跡からみた槍ヶ岳です。
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 米山城跡から一旦鞍部の分岐までもどり、砥石城跡へむかいました。ここはかなりきつい登りです。
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 砥石城跡です。米山城と比べると狭い感じがします。
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 標高が高い分だけ、遠くまで見通せます。景観図や「関東の富士見百景」の標柱が設置されていました。
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 砥石城跡から北へ尾根伝いにしばらく進んだところが本城(本丸にあたる場所)跡。石垣やから堀の跡などがみられ、城跡らしい雰囲気が漂っていました。
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 最も標高の高い場所(830m)にあるのが、枡形城跡です。
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 枡形城跡からは、御屋敷や真田本城など、「真田の里」が一望できます。
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 帰りは大手口とよばれる東側へ下りました。陽泰寺という大きなお寺があり、そこは、真田一族の本家、海野氏の菩提寺だということです。
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 伊勢山の集落を抜けて、櫓門前の駐車場にもどりました。伊勢山は、真田が砥石城を支配するようになってから誕生した城下町だということで、趣があります。砥石城は、その麓にもみどころがたくさんあり、山歩き+αが楽しめます。
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 櫓門付近で面白いものをみつけました。一見したところバス停のようなのですが、時刻が書かれていません。通りかかった地元の方に聞くと、この場所がアニメ映画「サマーウォーズ」の舞台となったことに因んで設置されたものだということです。つまりフェイク。本物のバス停だと信じて、ここでバスを待つ観光客がいたら困りますね。そんな間抜けはポン太ぐらいだろうって? そうかなぁ・・・。
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