夕陽はマジシャン

 かつて大阪~札幌間に、「トワイライトエクスプレス」という名の寝台特急列車が走っていました。日本海の夕景を堪能できるというのがウリで、ポン太も一度は乗ってみたいと思っていたのですが、実現しないうちに廃止されてしまいました。
 旅先で見る夕景ほど心に染みるものはありません。豪華列車ではなくても、列車の車窓からみる夕景は最高のごちそうのような気がします。太陽が大地を朱に染めながら沈んでいく。その燃えるような一瞬が過ぎると、山の端がシルエットとなって浮かびあがります。次第にあたりは暗くなり、小さな集落の家々の窓に、ぽつりぽつりと灯りが点り始めます。そのうちには道路も畑も見分けがつかなくなってきます。所々にある街灯の下だけがぽっと明るくなっていて、人影がみえたりすると、この土地の人たちはどんな暮らしをしているのだろうか、などと想像してしまいます。
 黄昏時は寂しくていやだという人もいますが、ポン太にとっては、このトワイライトタイムこそ至福の時間といっても過言ではありません。雪のある場所でのトワイライトシーンはとりわけ印象深く、半世紀も前になりますが、冬の北海道を蒸気機関車のひく普通列車で旅した際、雪原に沈む夕陽と機関車の吐き出す煙のシルエットに感動したことが、今も忘れられません。かの啄木も「うす紅く雪に流れて入日影 曠野(あらの)の汽車の窓を照らせり」と歌に詠んでいます。辺境の地釧路へむかう車中の歌であり、悲しみと希望の入り交じった心境を重ねあわせたものといわれています。
 先月末、浅間山麓にようやくまとまった雪が降ったということをブログに書きました。その後もう一度積雪があり、きれいな雪景色となったので、日没間近な時間にウォーキングにでかけました。林も山も水辺も、夕陽に照らされると、ふだん見ているものとはまったく別物に変身です。雪が舞台芸術家だとすれば、夕陽はマジシャンと言うことができるかもしれません。
 わが家のまわりで見た、印象的なシーンをいくつかご紹介したいと思います。


 陽が傾いてきました。いざ、ウォーキングへ。
画像

 夕陽を浴びた水辺。いつもと違った雰囲気です。
画像

 落葉松林のむこうに、陽が沈もうとしています。
画像

 浅間山も夕陽に紅く染まっています。
画像

 中山道も黄金の道に変身です。
画像

 いよいよ日没です。ここはふだんはなんということのない空き地で、バスの廃車体が置いてあったりするのですが、雪と夕陽が別世界に変えてくれます。
画像

 わが家の西方、美ヶ原に沈む夕陽です。
画像

 陽が沈んだ後の山のシルエットも見応えがあります。浅間山麓のテレビの電波は、すべてこの美ヶ原から送信されてきます。目を凝らすと、山頂に電波塔が林立しているのがわかります。
画像

 落日の余韻。シルエットになった木々の雰囲気もよく、いつまでも眺めていたい気分になります。
画像

 ここまで暗くなると、さすがに寂しさの方が勝ります。身体も冷えてきました。そろそろ引き上げるとしましょう。
画像


 ※このところの気温上昇で雪が溶けてしまい、残念ながら現在は上記のような状況ではありません。

この記事へのコメント