可愛いわら馬ひき

 何もかも、すべてが可愛らしい伝統行事を見てきました。それは、真田の里(上田市真田町)の戸沢という集落に伝わる「ねじ行事」です。「ねじ」というのは、米粉でつくった蒸し餅に彩色をして餡を入れ、花や動物の形に仕上げたもの。それを道祖神に供えるという行事ですが、前年に子供が生まれた家では、祭の前日に親類縁者が集まり「ねじ」をつくってお祝いするということです。
 道祖神へのお供えの仕方に特色があります。家毎にわら馬をつくり、その背中に「ねじ」を背負わせて台車に乗せ、それを子供たちが曳いて道祖神へとむかうのです。その何ともいえない可愛らしさ。道祖神に「ねじ」を供えて無病息災を祈るだけでなく、母親たちは重箱に入れて「ねじ」を持ち寄り交換します。お互いの子供の成長を願うというわけです。
 この「ねじ行事」のように、一般には知られていなくても、小さな集落に引き継がれている伝統行事の中には、思わず微笑んでしまったり、驚いたり、感心したりするものが少なくありません。しかし、それを実際に見たり体験したりするのはかなり大変です。テレビや新聞で報道されることがあっても、その時点ではすでに「後の祭」。どうすれば事前にその情報をつかむことができるのでしょうか。
 今回は、たまたまネットでその写真を見たことがきっかけでした。市のホームページでも詳しいことはわからず、地元の公民館に問い合わせて、ようやく開始時刻や正確な場所を知ることができました。
 そんなわけで、当該地域外から見に来ていた人はごく僅か。もったいないと思う反面、観光行事化していないからこそ、間近に見ることができ、感じるところが多いともいえます。やはり、地域の地域による地域のための行事であることが、その内容を変質させず、長く続けていられる理由かもしれません。
 ふだん見ることができないものを見ると、ぞくぞくワクワクするようなところがあります。チコちゃんも言っていました。高齢になるほど月日の経つのがはやいと感じるのは、子供の頃と比べて「ときめき」が少ないからだと。確かに、思う存分徘徊し、目新しいものを見つけて気分が高揚した日は、一日が長く感じられます。そうだ、そのとおりだ、徘徊は金、家でのんびりは糞だ、と宣言し、今度はポン子に叱られたポン太でした。


 この行事が行われた戸沢集落の入口です。戸沢は、猿飛佐助の師匠である甲賀流忍術の達人、戸沢白雲斎が住んでいた場所ともいわれています。地名の表示板には当然のことながら真田の六文銭が描かれています。
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 わら馬をひいて、子供たちが出てきました。準備はいいかな。
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 ひく方もひかれる方も可愛いらしいわら馬ひきです。
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 晴れ着を着て道祖神へむかう家族もいます。
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 がんばれ、あと一息だ。
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 道祖神の近くまでやってきました。
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 道祖神に到着です。
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 「ねじ」を供えて無病息災を祈ります。
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 道祖神に供えられた「ねじ」。これまた可愛いらしいですね。
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 お母さんたちは、お互いの子供の成長を願い、持ち寄った「ねじ」を交換します。
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 子供はおんぶにだっこ。親にひかれていくわら馬も。
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 家にもどるわら馬たち。この後、わら馬は屋根に放り投げられます。わら馬が災厄を背負って天にのぼってくれるからだとか。
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