アパート症候群

 最近の浅間山麓、とくにポン太の住む南麓一帯で目につく動きといえば、建設ラッシュといってもよいほどのアパートの増加です。ポン太がよく散歩しているエリアでも、現在建設中のアパートがいくつも目につきますし、ここ数年の間に建設されたアパートの数は、十指に余るどころか、足の指を入れても足りないほどです。いままで、落葉松やコナラ、赤松の林だったところが、突然切り開かれて、何ができるのかなと思っていると、たいていがアパート。そうでなければ太陽光発電施設、というのが最近のお決まりパターンです。
 この背景に何があるのか。あくまで推測に過ぎませんが、土地所有者の高齢化、あるいは代替わりなどを機に、所有地の有効利用をはかりたいという意思が生じていたところへ、業者からの働きかけがあって、そのようなことになっているのではないでしょうか。税金だけ払って土地を遊ばせておくわけにはいかない、というわけです。
 大都市周辺でもない高冷地で、アパート経営が成り立つのかと、素朴な疑問を抱く人も多いはず。ポン太もそう思っておりました。ところが、新築アパートの前に、「満室」の札が掲げられているところが意外に多いのです。いったいどんな人が入居しているのでしょうか。これまた推測ですが、軽井沢やその周辺にはホテルやレストランが多く、佐久平には多くの工場や大規模商業施設が存在しています。この地域にはそれなりの雇用があるわけです。家賃が安く自然環境のよい浅間山麓に住んで、クルマで職場へという、独身者や単身赴任者が、案外多いということではないでしょうか。
 昨年、長野県内77の自治体の中で、人口が増加したのは8町村でしたが、そのうちの2つが浅間山麓の軽井沢町と御代田町でした。人口(とくに若い人)が増えたことで、介護保険料が下がり、スーパーやホームセンターが充実し、医療の心配もない等、ポン太もその恩恵を十分受けているわけです。したがって、この動きを歓迎したいと思う気持ちがないわけではありません。しかし、その一方で、森や畑の中に家屋が点在するという、のどかな高原の雰囲気が失われ、大都市周辺のような住宅地化が進んでしまうことには、不安があります。アパートの入居者も、豊かな自然環境ゆえにこの地を選んだという人が少なくないはずですから、建設にあたっては、環境や景観への慎重な配慮が望まれます。なにより心配なのは、このままの勢いでアパートが増え続けた場合、遠からず供給過剰となり、建築主自身が、厳しい状況に陥ることです。老婆心ならぬ古狸心ながら、そう思ってしまいます。

 浅間山を背にしたアパートです。ここは元々開拓民の家と畑があったところです。
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 散歩の途中で見かけたアパート群です。すでに出来上がって入居済みのアパートの前では、新たな建設が始まっていました。後ろに浅間山がなければ、ここは東京郊外の新興住宅地?と思ってしまいます。
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 入居済みのアパート前には、満室の看板が。
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 新しいアパートとその前に並ぶ太陽光発電パネル。近年目立つようになった、浅間山麓の風景です。
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 こちらは昨年、中山道沿いに完成したホテル従業員用のアパート。このような施設も増えています。
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 これは、平屋の1戸建てを並べたアパート(貸家群)。「庭付き一戸建て」は、独身者にはアピールしなかったようで、完成して1年以上経ちますが、満室になっているようには見えません。
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 ポン太の家の近くでも二棟のアパートが建設中です。
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 そこは2年前まで空き地だったところで、このような月見草の群落がありました。
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 建設中のアパートのすぐ後ろでも、樹木の伐採が始まりました。ここもアパートになるのでしょうか。
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 これは、現在建設中のアパート付近の40年以上前の風景です。左手奥に見えているのは平尾山。このあたり一帯は、ほぼ原野といってもよいところでした。(1975年7月撮影)
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