PHOTO MIYOTAを味わう

 国内最大級の芸術写真の祭典、浅間国際フォトフェスティバル2019/PHOTO MIYOTAが開幕しました。今年はどんな展示が行われているのか、見ないことにはコメントのしようがないので、人が少ない平日の午後を狙ってでかけてきました。
 このフェスティバルは、額に入ったきれいな写真が並ぶというような、一般的な写真展のイメージとは全く異なるものです。簡単にいえば、写真という手法や素材を用いた現代アート展でしょうか。写真には馴染みがあっても、現代アートとは縁遠いポン太ですので、昨年初めてこのフォトフェスティバルに接した際には、いささかたじろぎ、多少の違和感もありました。しかし、なんでもそうでしょうが、経験することでその良さもわかり、素直に楽しむことができるようになるものです。今年は、昨年感じたようなインパクトこそ小さかったのですが、その分、それぞれの作品が発するメッセージを、しっかり受けとめることができたように思います。
 昨年もそうでしたが、とりわけ魅力的だったのは屋外展示です。山や森といった自然環境が作品に力を与えるのか、爽やかな高原の風や樹木の芳香が、見ている側の感性を刺激して、より一層作品の世界に入り込ませるのか、それはわかりませんが、気分が高揚することは間違いないでしょう。それがまさに、この場所であるからこその価値であり、この地でで開催することの意義だと思うのです。
 ちょっと残念なのは、町全体がフォトフェスティバルで盛り上がっているという雰囲気が感じられないことです。昨年は、メイン会場に隣接する縄文ミュージアムの森や龍神の杜公園など、町内のあちらこちらで「写真」を目にしましたが、今年はそれがありません。昨年の事前説明会では、会期中、町中が写真で溢れ、写真を眺めながら散策したり、飲食をしたりして、「写真文化」をゆったり楽しむことができる、そんな催しになることが理想であると、聞いたような気がします。一朝一夕にはいかないかもしれませんが、少しでもその理想に近づいて欲しいと思います。
 今年のメイン会場の作品に関しては、昨年同様ハイレベルで、展示の仕方も含めて十分楽しめます。その一端を以下の写真でご覧下さい。展示作品はこれ以外にもたくさんありますので、一度は足を運ばれて、ご自分の目でご覧いただくのが一番です。

 今年の浅間国際フォトフェスティバルのポスターです。
フォトみよたのポスター.JPG
 オランダ生まれのシャンタル・レンズ氏の作品「You Run Around Town Like a Fool and You Think」です。作品自体は干し草ロールのカバーにあるのですが、まわりの芒やむき出しの干し草ロールも作品と一体化しています。
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 竹之内祐幸氏の作品「Things will get better over time」の一部です。
 ここには二匹の亀が写っていますが、同氏は「もうひとつの視点」をテーマに、日常風景を切り取りながら、そこにある不自然なものや異物をあぶりだそうとしている由。
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 大塚千野氏の作品「Imagine Finding Me」 
 家族アルバムをベースにした作品ですが、このような形で展示されると、単なる家族写真ではなく、特別なものに見えます。いえ、よく見ると、やはり特別な(不思議な)ものでした。同じ写真の中に、ご自身の子ども時代と現在のお姿が同居しているのですから。
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 屋外展示で特に気に入った作品がこれ。印象派の絵のようですが、よくみると、そこには汚染問題の現実が。中国の写真家張克純氏の作品「The Yellow River」です。
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 面白かったのがこの作品。ニューヨークのコニー・アイランドのビーチを埋め尽くした群衆の写真ですが、後方の浅間山と合体して不思議な雰囲気に。パネルに穴があいているのは、そこから首を出すことで、自分もニューヨークの群衆の一人になれるという仕掛けです。ウクライナ生まれで元は報道写真家のウィージー氏の作品ということですが、展示の仕方に遊び心があるのが良いですね。
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 屋内(館内)の展示で圧倒されたのは、フランス生まれのシャルル・フレジェ氏のこの作品。作品名の「CIMARRON(シマロン)」は、アフリカ大陸から連れ去られ、売られた土地から逃亡した黒人奴隷を意味するそうです。新たな居住地で独自の文化を築いた人々の装いに焦点をあてた作品で、「抵抗」の意思が伝わってくるようです。
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 これも館内の展示ですが、えっこれが写真なの?という感じ。抽象画のようでもあり、写真表現の幅広さを感じます。横田大輔氏の作品「Color Fhotographs」です。
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 作品の中に入って写真を撮ってみませんか、と声をかけられたのがこれ。見るときに生じる認識のずれをテーマに作品制作を行っているという鈴木崇氏の作品「BAU」ですが、隣室にカメラがあり、その前に立つと作品の中に入った姿になります。作品の中に入って撮影している自分を自分が撮影した自分の作品がこれです。う~ん、現代アートだなぁ。
DSCF5336.JPG
<浅間国際フォトフェスティバル/PHOTO MIYOTAは、御代田町の旧メルシャン軽井沢美術館をメイン会場に11月10日まで開催中です。>

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