やっぱりすごいぞ小諸の風穴

 これまでこのブログで何度か取り上げてきた小諸の風穴(ふうけつ)。世界遺産に認定されている荒船風穴と同じ類のものが小諸市域に存在し、しかも一部は現役で使用されているのですから、それだけでも驚きです。実際に現地を見学し、予想以上のスケールに目を見張りましたが、その本当の価値や歴史的位置づけについての理解が十分とはいえませんでした。もう少し詳しく知りたい思っていたところ、そのものずばり「蚕種貯蔵風穴の歴史と制度-上信地域の風穴の歴史的位置づけ」と題した講演会が開催されることを知り、参加することにしました。
 会場となった安藤百福記念センターのホールは、120人ほどの参加者で満席。「○○で遊ぶ会」よりも「○○を学ぶ会」の方が人が集まるといわれる、カルチャー好きの県民性をここでも再確認です。
 この講演を聞いて印象に残ったことを簡単にご紹介しましょう。
 風穴というのは岩石の隙間から吹き出す冷気を利用した天然の冷蔵庫です。機械式冷蔵庫などなかった時代に重宝されたわけですが、その役割で最も重要だったのは、蚕種(蚕の卵)を貯蔵することでした。自然状態で蚕が繭をつくるのは一年に一回ですが、蚕種を風穴で貯蔵し孵化を抑制することで、年に複数回蚕を育てて繭を生産することが可能になるのです。これにより、当時最大の輸出産業であった生糸の大増産を行うことができたわけですから、日本の近代化を担った蚕糸業を源流の部分で支えた、とんでもなく重要な産業遺産ということができます。
 長野県は蚕種の風穴貯蔵で全国をリードする存在であったそうです。先鞭をつけたのは旧南安曇郡稲核(いねこき)村で、その後県内各地に広がりました。しかし需要増加とともに風穴も急増(粗製乱造で経営も分散)し、蚕種の品質低下が問題となりました。
 貯蔵レベルが一定でない群小の風穴に対して、一箇所で大量に貯蔵ができる最新設備を備えた風穴が必要だとして設けられたのが荒船風穴だということです。その収蔵量110万枚(蚕の蛾の卵が産みつけられた蚕卵紙の枚数)は全国一、営業展開も全国規模であった由。これに影響されて、長野県内でも風穴の改良と大規模化が進められました。長野県内の風穴集中地域トップ3のうちのさらにナンバー1であったのが北佐久郡です。風穴毎の貯蔵枚数を合計すると、荒船に匹敵する計107万枚余(明治43年)となり、その中心をなしていたのが、小諸風穴と氷風穴(両者は隣接エリア)ということですから、たいしたものです。もっともっと注目されてよい産業遺産だと改めて思いました。

 講演会の前に氷風穴を見学しました。氷というのは集落の地名ですから、「こおりふうけつ」と読みます。小諸地区には氷風穴と小諸風穴がありました。規模としては後者の方が大きかったようですが、その跡がよく残っているのは前者です。これはその1つ、5号風穴の入口です。説明板や各種表示が整備されつつあり、見学者にとっては有り難いことです。
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 風穴の遺構がこのようにしっかりした形で残っています。使用時にはもちろん上屋がありました。
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表示といえば、こんなユーモアのセンスが光る注意書きもありました。
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 冷風穴に隣接して、温風が吹き出す温風穴も存在していました。温風穴があったとされる場所で、その説明を聞きました。
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 温風の吹き出し口に蕾のついた梅の枝を挿しておいたところ、あっという間に開花した由。まわりのコケやシダが青々しています。
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 手をかざすと生暖かい空気が出ているのがわかりました。温度は16度もあり、冷え込んだ朝などは、湯気が立ち上るそうです。
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 駐車場の表示は、講演会ではなく「学習会」となっていました。みなさんしっかり学習するつもりで来ているのですね。
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 ここが会場の安藤百福センターです。自然体験活動指導者の養成を目的とした施設ですから、この塔はボルダリング体験用かもしれません。
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散策路も整備されていて、こんな角度で浅間山を望むことができます。
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 これはツリーハウスでしょうか。面白そうなものがいろいろ目につきました。
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 ロビーからの眺めもすばらしく、まるで絵のようでした。
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 安藤百福の像もありました。ご承知のとおり、インスタントラーメンの発明者にして日清食品の創業者、朝ドラ「まんぷく」のモデルになった人物です。
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 講演会が始まりました。右手の方が群馬県から来られた講師の飯塚聡先生です。
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 会場内に展示されていた小諸風穴の宣伝です。いささか大げさなように見えますが、広範囲に顧客を集めるためには必要だったのでしょう。
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 お土産にこんなすばらしいものをいただきました。風穴に貯蔵して熟成させたというその名も「風穴そば」。風穴はいまも役に立っているのです。
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