至宝の山と森-黒斑山を歩いて-

 先週末に県を跨いでの移動自粛が解除されて以来、浅間山麓でも県外ナンバーの車を見かけることが多くなりました。梅雨の晴れ間に、黒斑山に出かけてみたところ、登山口(車坂峠)の駐車場は満車状態で、登山道を歩いている人の数も、これまで見たことがないほどの多さでした。全体的にみて、若い人や家族連れの比率が高く、高齢者は少ないという印象です。やはり、高齢者の場合は、感染を恐れて本格的に出歩くことをまだ避けているのかもしれません。
 山で出会った若者の多くが、明るい表情をしており、中には「これまでずっと家に閉じこもって我慢していたので嬉しい」と話す人もいました。広域に人が動けば感染が広がる恐れがあり、その懸念をぬぐい去ることはできませんが、各地からやってきて山歩きを楽しんでいる人々の姿をみると、ひたすら「ステイホーム」でというのは無理があると思わざるをえません。誰だって、美しい自然の中で身体を動かしたいのです。 
 黒斑山は、訪れる誰をも満足させてくれるすばらしい山です。森もあれば岩場もあり、高山植物も豊富。僅か2時間ほどで山頂に立つことができ、これほど雄大なアルペン的景観を楽しむことができる山はそうはないと思います。黒斑山の詳細については、一昨年の6月に「黒斑山への招待」というブログでご紹介しましたので、ぜひご覧下さい。
 コロナ禍を筆頭に、暗いニュースが多い中で、信州ではちょっと良いニュースもありました。それは、霧ヶ峰周辺の山林を大規模(事業区域は196.5ha)に伐採してメガソーラーをつくるという計画が撤回されたことです。この背景には水資源の保全機能や生態系への悪影響、景観の悪化などを懸念する地域住民の声が高まったことがあると思われます。太陽光発電自体が悪いわけではなく、自宅の屋根などに設置する「小規模分散型」(自給自足型)であれば、むしろ大賛成です。しかし、大規模な森林伐採を伴う「山林開発型」を許容することはできません。
 森の中に入れば、誰しもひんやりとした清浄な空気の存在を感じるはずです。水資源を守り気温の上昇を防いでいる森をつぶしてつくった電気で、クーラーをフル稼働させて涼むなどということが、矛盾に満ちた愚かな行為であることは、ポン太のようなポンコツ頭でも容易に理解できます。山や森は、ただ美しいだけでなく、心身ともに健康な生活を維持する上でのかけがえのない宝です。黒斑山で、大勢の登山者の笑顔に接して、益々その思いを強くしました。

 前方の黒斑山を目指して、美しい森の中を歩きます。
黒斑山をめざして.JPG
 森は天然のクーラー。暑さ知らずです。
森の中の道.JPG
 足元にはイワカガミがたくさん咲いていました。
白樺を彩るイワカガミ.JPG
 コマクサの咲くガレ場もあります。
槍が鞘南斜面のガレ場.JPG
 今年はまだ咲いている数が少なかったのと、登山道から遠く離れた場所にしか咲いていなかったので写真撮影はできませんでした。これは一昨年の様子です。
黒斑のコマクサ.JPG
 黒斑山といえばゴゼンタチバナ。今年はとくにその数が多いように感じました。
ゴゼンタチバナ.JPG
 最初に登り着くピークを槍ヶ鞘といいます。そこからの眺めはすばらしく、登ってきた疲れが吹き飛びます。右は浅間山、左はこれからたどるトーミの頭です。
槍ヶ鞘からの眺望.JPG
 トーミの頭(右端)から黒斑山山頂(左端)に至る稜線です。険しそうに見えますが、難なく登ることができます。
DSCF2617.JPG
 足元には切れ落ちた深い谷があり、吸い込まれそうになります。この谷にはニホンカモシカが棲息していて、時折登山道にも現れます。
剣が峰と谷.JPG
 槍ヶ鞘からトーミの頭へと登って行く途中には、ハクサンイチゲがたくさん咲いていて、夏山らしい雰囲気が漂っていました。
登山道脇のハクサンイチゲ.JPG
 トーミの頭の上では、大勢の登山者が眺めを楽しんでいました。
DSCF2677.JPG
 トーミの頭から見た浅間山の外輪山は、アルプスを思わせる絶景です。
DSCF2643.JPG
 外輪山中の最高峰が黒斑山です。標高は2404mあり、浅間山本体を除けば、浅間連峰の最高峰です。
黒斑の頂上付近.JPG
 黒斑山の山頂は狭い上に展望がいまひとつなので、そこから蛇骨岳方面へ少し歩いた稜線上でいつも昼食休憩をとることにしています。この日は若い先客がおり、もう少し先まで歩くことにしました。
DSCF2658.JPG
 外輪山の稜線を行く登山道は見晴らし抜群のパノラマラインです。この辺がよかろうと、ランチの場所を確保しました。
DSCF2673.JPG
 ちょっと狭い場所で、転落したら大変ですが、展望は抜群です。
DSCF2666.JPG
 浅間山と外輪山、火口原(湯の平)を一望する、この眺めを楽しみながらのランチは、まさに至福のひとときです。
DSCF2669.JPG
 このあたりからは、浅間山の噴火口の様子もよくわかります。少し噴煙が多いように感じましたが、帰宅してニュースを聞くと、このところ火山活動が活発化していて小噴火の恐れがあるとのこと。25日に、噴火警戒レベルが2に引き上げられ、火口から2km以内への立ち入りができなくなりました。噴火口に近い前掛山へ登ることはできませんが、黒斑山は大丈夫です。
DSCF2661.JPG
 帰路は槍ヶ鞘経由の尾根コース(表コース)ではなく、展望のない谷コース(中コース)をとりました。そこで思いがけず遭遇したのが、このマイヅルソウです。何度も登っている山でも、新たな「発見」があるものです。
マイヅルソウ2 (2).JPG


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