秋晴れの蓼科山へ

 散歩の折、不動産業者の看板に、「二つの山に見守られた町」と記されているのを見て、これはすばらしいキャッチコピーだと見入ってしまいました。浅間山あっての当地というような言い方をすることが多いポン太ですが、もう1つ忘れてはならないのが蓼科山です。北に浅間山、南に蓼科山を望む雄大な景観こそが当地の最大の魅力であり、お互いに相手を引き立てるような役割を果たしているからです。
 浅間山の標高が2568mであるのに対して、蓼科山のそれは2530mと同レベル。どちらも円錐形で風格があり、シンボル的要素は十分です。深田久弥氏は『日本百名山』の中で、「古い本によると、浅間山を北岳、蓼科山を南岳と呼んで、この二山を東信州の名山としている」と述べています。そのような呼び方を実際にしている方に出会ったことはありませんが、この二山が東信州を代表する名山であることは間違いありません。
 目の前にでんと構えて時に畏怖の念を抱かせる浅間山に対して、少し距離のある蓼科山には、絵画的な美しさを感じます。ほぼ毎日眺めてはいるのですが、しばらくその山頂に立っていないことが気になり、調べてみたところ、直近の登頂はなんと10年前でした。こんなにご無沙汰していては申し訳ないと、天気の良さそうな日を見計らって出かけてみることにしました。
 蓼科登山のイメージは、登山というよりハイキングです。「日本百名山」の中でも、登頂の容易な山の1つだと認識しておりました。前回登った際にも苦労したという記憶はありません。しかし、今回はちょっと違いました。コースタイムを大幅にオーバーしただけではなく、将軍平から山頂に至る最後の登りが、こんなにも大変だったのかと思い知らされました。同区間は急登というだけでなく、大きな岩が幾重にも積み重なっており、湿った岩は滑りやすく、滑落したら大変なことになります。息はあがっても足は上がらず、やっとの思いで山頂に到達しました。
 蓼科山に初登頂したのは35年も前ですが、なんと三歳の娘を背負っての登山でした。上述の岩場の急登を難なく突破したようで、記憶の片隅にも残っていないことが信じられません。我ながら、三十代の体力はたいしたものだと思います。
 それはさておき、時間はかかっても、しんどい思いをしても、山頂に立った喜びは何ものにも代えがたいものです。大展望というご褒美も待っていますから、山歩きをやめたいとは思いません。標高2530mの蓼科山山頂は、今年の山歩きの(現時点での)最高地点となりました。

 大河原峠をスタートした時には、霧が立ちこめていました。現在、大河原峠には佐久市側からしか行けません。蓼科高原側からの道は昨年の台風による土砂崩れで、不通となったままだからです。そのせいか、同峠からの登山者は少なく、静かな山歩きが楽しめました。
大河原峠.JPG
 このコースの面白さは、登るにつれて植生が変わることです。最初のうちは笹原の中をゆるやかに登ります。
笹原を登る.JPG
 登るにしたがって、樹木の下は苔だらけとなり、幽玄な感じがしてきます。
苔の森に変貌.JPG
 苔の色が鮮やかで、自然がつくった庭園のよう。
苔の森.JPG
 しばらく急登が続きますが、登り切ったあたりに、佐久市最高地点(2380m)の標識がありました。蓼科山本体の手前に位置するこのピークは、前掛山と呼ばれているようですが、地形図には山名の表記はありません。
前掛山の尾根に立つ佐久市最高地点標.JPG
 間もなく枯れ木(縞枯れ現象)の森が現れます。立ち枯れた木々の間から、蓼科山の山頂部が姿を現しました。
立ち枯れの樹木の先に蓼科が.JPG
 水が溜まって、小さな池塘のようになったところもあります。こんな変化を楽しめるのもこのコースならではです。
ぬかるみと木道.JPG
 前掛山からゆるやかに下ったところが将軍平。蓼科山荘という山小屋があり、ここで、蓼科高原側の七合目登山口からの道と合流です。登山者の数が増えてきました。ここまで来れば、目の前に見える蓼科山頂まであっという間に到達できそうな気がしたのですが・・・。
将軍平からみた蓼科山頂.JPG
 将軍平から山頂まで、このような岩だらけの急登が続きます。鎖があるのはここ一箇所だけで、あとは手と足の三点支持でよじ登るといった感じです。濡れていた岩に日が当たり、水蒸気が立ちのぼっていました。
鎖場.JPG
 次第に視界が開けてきました。あと一息です。後方に見える山は、その尾根をたどってきた前掛山です。
滑りやすい岩場.JPG
 登り切ったところに建っているのが蓼科山頂ヒュッテ。眼下に雲海が広がり、高山らしい雰囲気です。
山頂ヒュッテ到着.JPG
 山頂部には、大きな石がこれでもかというぐらいごろごろしています。
浅間連峰を望む.JPG
 ここが一等三角点を戴く蓼科山の山頂です。
一等三角点.JPG
 雲の上に姿をみせているのは北アルプスの槍・穂高連峰です。
岩ゴロの山頂からみた槍ヶ岳.JPG
 北八ヶ岳の雄峰、北横岳は指呼の間です。
北横岳.JPG
 こちらは荒船山。その名のとおり、大海を行くタンカーの姿のように見えます。
荒船山.JPG
 すばらしい眺めを楽しんだ後は、下山しなければなりません。あの岩場を下るのかと思うと気が重くなりましたが、登ってきたときよりもガスが晴れて、展望は抜群でした。山小屋に届ける大荷物を背負った歩荷(ボッカ)さんとすれ違いましたが、本当にご苦労様です。
歩荷.JPG
 この日のフィナーレを飾ってくれたのは、この景観でした。いつもとは逆に、蓼科山側からみた浅間山のなんという美しさ。神々しいといっても過言ではありません。
神々しい浅間山 (2).JPG

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 5

驚いた
ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント