学校登山の灯を消さないで

 ポン太が山好きになったきっかけは、杉並区立S中学の2年次に、希望者を募って実施された林間学校に参加したことでした。3泊4日の日程で、北八ヶ岳(天狗岳・北横岳)に登るという内容で、参加者は30名ほどだったと思います。
 手元に残っているメモによれば、1963(昭和37)年7月27日、午前7時発の「急行第1アルプス」で新宿駅を出発し、茅野駅で下車。バスで宿泊先の辰野旅館(渋温泉)にむかっています。
 二日目の28日の日程は、7時に宿を出発し、八方台経由で天狗岳(2645m)に登り、中山、高見石付近を経て辰野旅館にもどるというものでした。実際に宿に帰着したのは、17時30分でしたから、かなりのハードスケジュールです。
 三日目の29日の日程は更にハードで、宿を6時に出発し、冷山歩道、茶臼山歩道を経由して坪庭へ。そこから北横岳(2472m)に登り、帰路は雨池峠を越え、雨池、麦草峠経由で辰野旅館へ下るというロングコース。宿にもどったのは、あたりが暗くなっていた19時15分でした。
 山初体験の中学生がよく歩いたものだと我ながら感心してしまいます。相当しんどい思いをしたはずですが、それよりも下界とは全く異なる山の世界の魅力の方が大きかったのでしょう。この山行で山の世界がすっかり気に入り、いろいろな山に登ってみたいという気持ちが芽生えたことは間違いありません。
 信州では、ほとんどの中学で、1泊2日の「学校登山」を実施していると聞いた時は、これはすごいことだと驚きました。それも、北アルプスや中央アルプスの高峰に登るというのです。数年前のことですが、八ヶ岳の硫黄岳山頂付近で、大勢の中学生が声を掛け合いながら元気に登ってくる様子を目の当たりにし、「学校登山」は本当なのだと納得しました。
 その信州伝統の学校登山が、今、窮地に立たされているというのです。新聞記事によれば、2010年度には90%の学校で実施していたのに、来年度は4割を下回る可能性があるとか。その背景には、日常的に過酷な勤務を強いられている教員の負担が大きいことや、万一を心配する保護者の姿勢があるといいます。そこに追い打ちをかけたのがコロナ禍で、『密』になる山小屋利用が問題視されたことも影響しているようです。
 親がよほどの山好きでない限り、子供がハイキングレベル以上の本格的な山に連れて行ってもらえる機会はないと考えてよいでしょう。ポン太もあの「林間学校」がなければ、山とは無縁の人生を歩んだかもしれません。学校登山の果たす役割は極めて大きいのです。
 県歌『信濃の国』にも、「聳ゆる山のいや高く」とあるとおり、秀麗な高山は信州の誇りです。郷土の至宝である高山に1度も登ることなく、その魅力を知る機会のないままに大人になってしまうのは、なんとも残念な話ではないでしょうか。知恵と工夫の限りを尽くして、学校登山を継続して欲しい。心の底からそう願うポン太です。

 山が好きになるきっかけをつくってくれた「林間学校」。登山のベースとなったのは、この辰野旅館でした。
630727北八ヶ岳/辰野旅館に投宿040.jpg
 天狗岳へ続く尾根道で小休止。笑顔が見えているところをみると、皆へばってはいないようです。 
630728北八ヶ岳020 (2).jpg
 頂上が近づくにつれてガスが濃くなり、眺望はいまひとつでしたが、高山の世界にたっぷり浸ることができました。
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 その翌日は、山歩きに慣れたせいか、北横岳山頂ではこの余裕の表情。林間学校に出発する前よりも、少したくましくなったような気がしました。
630728北八ヶ岳北横岳登頂.jpg
 数年前、硫黄岳から夏沢峠へと下るこの道の先で、元気に登ってくる地元の中学生たちとすれ違いました。
夏沢峠へ下る.JPG
 佐久地域の中学では、この硫黄岳に登ることが多いと聞きましたが、森林限界を越えたこの高山の景観をみれば、何か感じるものがあるはず。
硫黄岳付近のハイマツ帯.JPG
 こうしたハイマツ帯の稜線歩きも、高山の魅力の1つです。
硫黄岳.JPG
 硫黄岳山頂からの眺望もすばらしく、雲海に浮かぶ美しい郷土の山々をみれば、故郷への愛着も増すのではないでしょうか。
爺ヶ岳山頂からの浅間.JPG
 山に入れば、こうした美しい渓谷の存在を知ることもできるのです。
夏沢鉱泉付近の美しい沢.JPG
 硫黄岳への登山道の途中にあるオーレン小屋です。途中で出会った中学生たちが泊まる山小屋が、ここかどうかはわかりませんが、こうした山小屋への宿泊も貴重な体験です。
オーレン小屋からみた硫黄岳.JPG
 大町あたりの中学では、北アルプスの爺ヶ岳に登ることもあるとか。
爺ヶ岳南峰.JPG
 爺ヶ岳山頂からの眺望は息を飲むほどすばらしく、一生忘れられない思い出になると思います。
爺ヶ岳からの立山・剱の絶景.JPG

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