ヤマノマスク

 山火事が多発しています。栃木の山火事はいまだ鎮火のメドが立たない状態ですから、地域住民の不安はいかばかりでしょうか。発端はどうやらハイカーによるタバコのポイ捨てらしいのですが、わが家の目の前の草むらでも、ポイ捨てされた吸い殻を見かけることがあり、ひやりとさせられます。大都市圏では、市区が独自に定める「ポイ捨て禁止条例」や「歩きたばこ禁止条例」などがあり、それなりの規制がなされています。ところが、山火事の危険性が最も高い田舎の方が、野放し状態というのはいかがなものでしょうか。枯れ草だらけの山中や、建築現場でも、平気でタバコを吸っている人がいます。吸い殻をどう処理したかまで見届けるわけにもいかず、ハラハラするばかりです。
 ハラハラするといえば、コロナの感染防止対策として、大半の方がマスクを着用していると思いますが、その性能(効果)には、素材によって大差があると報じられています。飛沫防止効果が最も高いのは不織布製で、布製はそれよりかなり劣り、ウレタン製にいたっては、「吐き出し飛沫量」が不織布の2~3倍に達するというのですから、気休めかアリバイレベルです。それを着用している方が近寄って来て、くしゃみなどされるとハラハラします。
 一時、アベノマスクなるものが話題になりました。サイズが小さい上に布製ですから、感染防止効果に疑問がもたれ、税金の使い途としていかがなものかと、問題視されたのは周知のとおりです。あのマスク、皆さんはどうされたでしょうか。家に届いたころにはマスク不足が解消しており、使い途がないまま、引き出しの奥に眠っているという方も多いのではないでしょうか。ポン太もそうでした。しかし、税金(自分が払ったお金)が投入されているものを、無駄にするのもどうかという思いがあり、気温が氷点下まで下がった日に、山歩きで着用してみました。冷たい空気をいきなり肺に吸い込むのは健康に良くないからです。これが予想以上に快適でした。不織布ですと息苦しくなるのですが、布製で通気性がよいことに加えて、サイズが小さいので空気が適度に漏れ、ふつうに登り続けることができました。買い物等の外出時には使えませんが、山にはむいています。これ以降、わが家では、ヤマノマスクと呼ぶことにしました。
 この話とは無関係ですが、2月とは思えない陽気に誘われて、1年ぶりに上田の太郎山を訪れましたので、写真で現況をお伝えすることにします。

 ヤマノマスクを着用して登頂した平尾山です。この日の気温は氷点下2度でしたが、ヤマノマスクのおかげで肺や喉への影響は少なく、楽に登ることができました。
ヤマノマスクで登頂.JPG
 平尾山から見た太郎山です。北アルプスの唐松岳を背にして凛と立つ姿を見ているうちに、登りたくなりました。
太郎山.JPG
 調べてみると、太郎山は昨年の2月以来1年ぶりでした。今回は、表参道ルートの脇道にあたる「四十八曲がり」コースをとりましたが、こちらにもこの山の特色の1つである「丁石」が設置されています。登山口付近が「3丁」で、山頂に近い太郎山神社手前の鳥居が「23丁」です。
48曲がりコースの丁石.JPG
 表参道コースで「14丁」に位置する鳥居です。数字の上では半分以上登ったことになりますが、実際には、4合目ぐらいでしょうか。
中間の鳥居.JPG
 こういった鳥居や石碑を見ると、つくられた時代が気になります。裏側にまわってみると、紀元2537年と刻まれていました。これっていったい何時代? 皇紀2537年という意味ですから、西暦では1877年(明治10年)となります。それにしても、明治初期に皇紀表記というのは珍しいのではないでしょうか。ちなみに、戦時体制の下、国威高揚のために紀元2600年奉祝行事が執り行われたのは1940年(昭和15年)でした。
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 一方、上田周辺の商人が、丁石を寄進したことを示すこの記念碑には、明治6年とありますから、鳥居より丁石の方が少し古いということになります。丁石の多くが、長い年月の間に、破損したり失われたりしましたが、平成の復元事業により蘇り、現在は、3~23丁のすべての丁石が揃っています。
丁石寄進の碑.JPG
 丁石の数字を確認しながら登るのが、太郎山登山の楽しみでもあります。ここは16丁。半分を少し超えたあたりでしょうか。
16丁.JPG
 20丁までくればあと一息。元気がでます。
20丁.JPG
 この赤い鳥居のあるところが23丁で、丁石があるのはここまで。ここまで到達すればすでに登頂した気分ですが、神社=山頂というわけではなく、本当の山頂はもう少し先です。
太郎山神社の鳥居元日23丁.JPG
 太郎山神社の社務所の縁側でくつろいでいる人が大勢います。ここからの眺めも悪くないので、ここを山頂と勘違いして下山する人も少なくないようです。
社務所.JPG
 神社の奥のもう一山登ったところが山頂です。広々としており、この日は暖かな陽光が降り注ぐ中、草むらで昼寝をしている人が大勢いました。
太郎山山頂.JPG
 気温が上がると景色は霞みます。山頂からの展望はいまひとつでしたが、春の雰囲気を感じました。
山頂より.JPG
 山頂でむかえてくれるこのお地蔵さん。表情が良いので気に入っています。次に来る時は、新しい帽子をプレゼントしたいといつも思うのですが、家にもどるとすっかり忘れてしまい、実現したためしがありません。ゴメンナサイ、お地蔵さん。
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 山頂でいつも襟を正して見入るのが、この反核詩碑です。「人間を取り戻せの叫び声が、地の底から聞こえてはこないか」。庶民には確かに聞こえてきますよ。聞こえない、いや聞く耳をもたないのは、どこやらの政府です。
反核詩碑.JPG
 太郎山には石切場の跡とされるところがあります。青みがかった石は緑色凝灰岩で、上田城にも用いられているそうです。徳川の大軍を二度も撃退し、武勇と知謀を天下に轟かせた真田父子。強さの秘密は太郎山と緑色凝灰岩にありと、タモリ氏なら、そう言うかもしれませんね。
緑色凝灰岩.JPG