湯ノ丸山・高峯山の花便り
記録的な早さで梅雨が明け、猛暑がやってきました。本来は避暑地のはずのここ浅間山麓でも、連日30度超えの異常な暑さが続いています。佐久市では、なんと観測史上最高の37.2度を記録(6月29日)しました。この暑さの中での里山登山は、炎熱地獄に近い状態になりますから、さすがに敬遠せざるを得ません。必然的により標高の高い涼しい山へ逃避することになり、アクセスが容易な浅間連峰に出かける回数が増えてきました。
2000mの山に吹く風は、下界とはまったく別物です。最強のクーラーでも、ここまで涼しくはできないだろうと思えるほどの爽やかさ。山頂の木陰で休んでいると、登ってくる途中でかいた汗があっという間にひっこんでしまいます。
この時季の浅間連峰の山々の楽しみは、次々と咲いてくる高山植物です。同じ山でも1週間後には新たな花が咲いていたりするので、何度登っても飽きることがありません。とくに、花の種類が多い高峯山には、これからしばしば出かけることになるでしょうから、何回かにわけて花便りをお届けしたいと思っています。今回は、高峯山だけでなく、その2日前に登った湯ノ丸山と一緒に、現在の様子をご紹介することにします。
湯ノ丸山の山腹はレンゲツツジの大群落で知られるところです。盛りは過ぎたというものの、まだこんなに綺麗に咲いていました。後方に見えるのが、これから登る湯ノ丸山です。

振り返ると、ツツジの群落の後ろに西篭ノ登山が見えます。

このレンゲツツジの大群落をつくった大功労者は牛たち。放牧された牛は毒のあるレンゲツツジを食べることはなく、それ以外の草を食べてくれたので、こうなったというわけです。その牛の姿がまったく見えないので、どうしたのかと思っていると、なんと森の中でこのようにへたり込んでいました。この暑さでは牛たちも歩き回りたくないのでしょう。
高度が増すほどツツジの色が鮮やかになりました。

ハクサンシャクナゲも咲いています。平地で栽培されるシャクナゲとは異なる高山植物です。

登山道脇でゴゼンタチバナを見つけました。湯ノ丸で見たのは初めてです。

こちらは可愛らしいシラタマノキの花

可愛らしいといえば、コケモモも負けていません。

山頂近くには、イワカガミの花も少し残っていました。

山頂は、日差しは強いのですが、吹く風は涼しく、大勢の登山者がランチを楽しんでいました。

湯ノ丸山の最大の魅力は、360度の大展望です。烏帽子岳越しに見えるのは北アルプスの穂高連峰。槍の穂先も確認できます。

群馬県側の眺めが良いのも湯ノ丸山の特徴といえましょう。こちらは草津白根山方面の眺めです。

ぼこぼこと盛り上がっているように見えるのは、鹿沢の山々です。真ん中が桟敷山、その右が小桟敷山、左側が村上山。右手奥に見えているのは浅間隠山です。

浅間山はこのような角度で見えます。手前から、西籠ノ登山、東籠ノ登山、黒斑山、一番奥が浅間山です。

帰路は烏帽子岳方面に下り、鞍部の分岐から湯ノ丸キャンプ場経由で地蔵峠へもどりました。

途中の中分岐付近は白樺林と満開のレンゲツツジがコラボしており、いつもながらの美しい景観でした。

キャンプ場ではアヤメが咲き始めていました。

この光沢のある黄色い花は、キンポウゲの仲間のウマノアシガタです。

さてここからは高峯山です。急な登りは最初の20分ほど。後は、花を眺めながらの快適な尾根歩きというわけで、浅間連峰の中でもとりわけ楽な山です。それでいて花の種類は豊富ですから、涼みがてらの高山植物ウォッチングには最適といえましょう。
最初は急登といっても、こんな涼しげな雰囲気ですから、苦になりません。

歩きはじめてまず目にしたのはこのハクサンイチゲ。高山植物らしい凛とした花です。花言葉は「清潔」「幸せを招く花」だそうです。

これはヤマブキショウマでしょうか。咲いていたのはこの1株だけでした。

湯ノ丸と同じように、ハクサンシャクナゲが咲き始めていました。
最初のピークを過ぎると、山頂までこんな尾根をたどります。道端には様々な花が咲いており、それを探しながら歩いていると、時間の経つのを忘れてしまいます。

これはシャジクソウ。今季初めて咲いているのを確認しました。

日本のエーデルワイス、ミネウスユキソウがスタンバイ状態になっていました。

ツマトリソウがたくさん咲いていましたが、こんなに花弁の多いもの(通常は7枚)は珍しいと思います。

マイズルソウも咲いていました。小さな花ですが形が面白いので目にとまりやすい花です。


湯ノ丸山でも見たゴゼンタチバナです。

ここではなんと、ツマトリソウ、マイズルソウ、ゴゼンタチバナが一緒に咲いていました。

こちらは山のブルーベリーといわれるクロマメノキ。花が終わり、実になりかけています。

レンゲツツジとシャクナゲがコラボしているところもありました。

遠目には何が咲いているのかわからないこの木。これはサラサドウダンです。庭木として利用される場合もありますが、本来は深山に生育する日本固有種です。

近寄ってみると、こんなに綺麗な花がたくさん咲いていて、この姿を見れば、気に入る方が多いのでは。

高峯山頂です。湯ノ丸山のように360度の大展望というわけにはいきませんが、西側には池の平湿原を望むことができます。

南側が開けていて、佐久平は一望の下です。

黒斑山はこんなに大きく見えます。これだけの眺めが楽しめるのですから、花だけでなく、登頂の達成感も十分味わうことができます。

頂上付近の岩の隙間にコケモモが根を張っていました。この適応力には脱帽です。

このフワフワした綿毛をまとっているのは、ミヤマヤナギ。ヤナギの高山種ということです。よく見かけるのですが、今まで名前がわかりませんでした。

高峯山ではこの先まだまだたくさんの花が咲いてきますので、次回の花便りにご期待ください。

2000mの山に吹く風は、下界とはまったく別物です。最強のクーラーでも、ここまで涼しくはできないだろうと思えるほどの爽やかさ。山頂の木陰で休んでいると、登ってくる途中でかいた汗があっという間にひっこんでしまいます。
この時季の浅間連峰の山々の楽しみは、次々と咲いてくる高山植物です。同じ山でも1週間後には新たな花が咲いていたりするので、何度登っても飽きることがありません。とくに、花の種類が多い高峯山には、これからしばしば出かけることになるでしょうから、何回かにわけて花便りをお届けしたいと思っています。今回は、高峯山だけでなく、その2日前に登った湯ノ丸山と一緒に、現在の様子をご紹介することにします。
湯ノ丸山の山腹はレンゲツツジの大群落で知られるところです。盛りは過ぎたというものの、まだこんなに綺麗に咲いていました。後方に見えるのが、これから登る湯ノ丸山です。

振り返ると、ツツジの群落の後ろに西篭ノ登山が見えます。

このレンゲツツジの大群落をつくった大功労者は牛たち。放牧された牛は毒のあるレンゲツツジを食べることはなく、それ以外の草を食べてくれたので、こうなったというわけです。その牛の姿がまったく見えないので、どうしたのかと思っていると、なんと森の中でこのようにへたり込んでいました。この暑さでは牛たちも歩き回りたくないのでしょう。

高度が増すほどツツジの色が鮮やかになりました。

ハクサンシャクナゲも咲いています。平地で栽培されるシャクナゲとは異なる高山植物です。

登山道脇でゴゼンタチバナを見つけました。湯ノ丸で見たのは初めてです。

こちらは可愛らしいシラタマノキの花

可愛らしいといえば、コケモモも負けていません。

山頂近くには、イワカガミの花も少し残っていました。

山頂は、日差しは強いのですが、吹く風は涼しく、大勢の登山者がランチを楽しんでいました。

湯ノ丸山の最大の魅力は、360度の大展望です。烏帽子岳越しに見えるのは北アルプスの穂高連峰。槍の穂先も確認できます。

群馬県側の眺めが良いのも湯ノ丸山の特徴といえましょう。こちらは草津白根山方面の眺めです。

ぼこぼこと盛り上がっているように見えるのは、鹿沢の山々です。真ん中が桟敷山、その右が小桟敷山、左側が村上山。右手奥に見えているのは浅間隠山です。

浅間山はこのような角度で見えます。手前から、西籠ノ登山、東籠ノ登山、黒斑山、一番奥が浅間山です。

帰路は烏帽子岳方面に下り、鞍部の分岐から湯ノ丸キャンプ場経由で地蔵峠へもどりました。

途中の中分岐付近は白樺林と満開のレンゲツツジがコラボしており、いつもながらの美しい景観でした。

キャンプ場ではアヤメが咲き始めていました。

この光沢のある黄色い花は、キンポウゲの仲間のウマノアシガタです。

さてここからは高峯山です。急な登りは最初の20分ほど。後は、花を眺めながらの快適な尾根歩きというわけで、浅間連峰の中でもとりわけ楽な山です。それでいて花の種類は豊富ですから、涼みがてらの高山植物ウォッチングには最適といえましょう。
最初は急登といっても、こんな涼しげな雰囲気ですから、苦になりません。

歩きはじめてまず目にしたのはこのハクサンイチゲ。高山植物らしい凛とした花です。花言葉は「清潔」「幸せを招く花」だそうです。

これはヤマブキショウマでしょうか。咲いていたのはこの1株だけでした。

湯ノ丸と同じように、ハクサンシャクナゲが咲き始めていました。

最初のピークを過ぎると、山頂までこんな尾根をたどります。道端には様々な花が咲いており、それを探しながら歩いていると、時間の経つのを忘れてしまいます。

これはシャジクソウ。今季初めて咲いているのを確認しました。

日本のエーデルワイス、ミネウスユキソウがスタンバイ状態になっていました。

ツマトリソウがたくさん咲いていましたが、こんなに花弁の多いもの(通常は7枚)は珍しいと思います。

マイズルソウも咲いていました。小さな花ですが形が面白いので目にとまりやすい花です。


湯ノ丸山でも見たゴゼンタチバナです。

ここではなんと、ツマトリソウ、マイズルソウ、ゴゼンタチバナが一緒に咲いていました。

こちらは山のブルーベリーといわれるクロマメノキ。花が終わり、実になりかけています。

レンゲツツジとシャクナゲがコラボしているところもありました。

遠目には何が咲いているのかわからないこの木。これはサラサドウダンです。庭木として利用される場合もありますが、本来は深山に生育する日本固有種です。

近寄ってみると、こんなに綺麗な花がたくさん咲いていて、この姿を見れば、気に入る方が多いのでは。

高峯山頂です。湯ノ丸山のように360度の大展望というわけにはいきませんが、西側には池の平湿原を望むことができます。

南側が開けていて、佐久平は一望の下です。

黒斑山はこんなに大きく見えます。これだけの眺めが楽しめるのですから、花だけでなく、登頂の達成感も十分味わうことができます。

頂上付近の岩の隙間にコケモモが根を張っていました。この適応力には脱帽です。

このフワフワした綿毛をまとっているのは、ミヤマヤナギ。ヤナギの高山種ということです。よく見かけるのですが、今まで名前がわかりませんでした。

高峯山ではこの先まだまだたくさんの花が咲いてきますので、次回の花便りにご期待ください。

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