別所線を復興のシンボルに

上田電鉄別所線(上田~別所温泉)は、国鉄信越本線由来のしなの鉄道を別にすれば、東信(東信州)地方に現存する唯一の私鉄路線です。1921(大正10)年の開業時は、別所温泉電軌という名前で、千曲川対岸の三好町(現・城下)が起点でした。1924(大正13)年に千曲川橋梁が完成したことにより上田までの全線が開通したのです。
 モータリゼーションの進行等により乗客が減少し、廃線の危機に陥ったことが何度もありましたが、地元の支えと会社自身の努力により、今日まで営業を続けてきました。ところが、先般の台風19号により千曲川橋梁の橋桁の一部が落下し、いまもこの橋梁を含む上田~下之郷間が不通のままです。1年後をめどに全線復旧をめざしているということですが、経営事情の厳しい上田電鉄にとって、多額の復旧費用が極めて重いものであることは間違いありません。
しかし、別所線の復旧は単なる復旧以上の価値があるように思います。三陸鉄道が東日本大震災からの復興のシンボルであったように、台風19号で甚大な被害を受けた千曲川流域にとって、まさにその台風によって落下した千曲川橋梁を架け直し、再び電車を走らせることは、復興のシンボルとして大きな意味をもつのではないでしょうか。あらゆる手立てを尽くして、運転再開を果たして欲しい。そう思います。
 幸いなことに、地元住民や別所温泉組合等、この電車の復旧を支援しようという輪が広がりつつあるようですし、上田市も積極支援に前向きということです。各方面の努力が実を結び、一日もはやく全線復旧が成就して欲しい。そんな願いを込めて、別所線の新旧の写真をここにアップすることにします。ご覧いただければ、これほど魅力的な路線を無くすわけにはいかない、きっとそう思うはずです。がんばれ別所線! 負けるな別所線!

 まずは地上線時代の別所線上田駅の風景から。国鉄線の南側に隣接してホームがありました。モハ5372(モハ5370形)が停車しています。(1986年3月27日撮影)
830107上田交通/モハ5372?上田駅004.jpg
 元東急5000系の中間車を先頭車(制御車)に改造した車両(クハ290形)が用いられていた時代もありました。(1984年8月4日撮影)
840804上田交通別所線の元東急5000系/上田駅.jpg
 高架化された現在の上田駅です。1986(昭和61)年10月1日、架線電圧が750vから1500vに昇圧され、「丸窓電車」などの旧形車両が一掃されました。現在使用中の車両はすべて東急からやってきたステンレス車両ですから、一見したところ、東急の支線のように見えます。
171015上田電鉄上田駅.JPG
 発車すると間もなく千曲川の橋梁を渡ります。台風19号により、この鉄橋の一番奥(別所温泉側)の橋桁が落下してしまいました。
101226別所線千曲川橋梁.JPG
 上田市民の山として親しまれている太郎山をバックに快走する別所温泉行電車です。車両は長野電鉄から譲り受けたモハ5260形のようです。(赤坂上~三好町間、1986年3月27日撮影)
860327太郎山を背に快走/赤坂上~三好町002.jpg
 車両基地があったころの上田原の風景です。かつては青木線が分岐していました。(1986年3月27日撮影)
860327上田交通別所線上田原 (3).jpg
 別所線といえば、かつては大正ロマン(製造されたのは昭和になってからですが)の香りを漂わせた「丸窓電車」が有名でした。大学前~下之郷間を行く丸窓電車モハ5252(モハ5250形)です。(1983年1月7日撮影)
830107丸窓電車モハ5252上田交通/大学前~下之郷003.jpg
 丸窓電車の車内はこんな感じでした。(1986年3月27日撮影)
860327上田交通丸窓電車車内.jpg
 下之郷付近の秋の夕暮れ時の風景は、レトロな電車にぴったりでした。(1983年1月7日撮影)
830107上田交通/下之郷002.jpg
 下之郷には有名な生島足島神社があります。これは7年に1度の「御柱(おんばしら)祭」で賑わう下之郷駅の風景です。(2010年4月18日撮影)
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 これがその「御柱祭」の様子です。御柱といえば諏訪地方が有名ですが、こちらの御柱祭も見応えがあります。次回は2022年に開催されます。
IMGP4399.JPG
 別所線にはレトロで雰囲気のよい駅舎がいくつも現存しています。これは大正10年の開業時に建設されたという、実にモダンな中塩田駅(開業時の駅名は五加)です。(2011年10月26日撮影)
中塩田駅②.JPG
 今は使われていない木製の改札口がそのまま残されています。(同上)
111026中塩田駅⑧.JPG
 都会風のステンレス車両(元東急の1000系)と周囲ののどかな風景が、ミスマッチのようにも見えますが、これが今の上田電鉄風景です。(同上、中野~舞田間)
111026中野~舞田間.JPG
 舞田駅も風情がありました。ホームの上屋は建て直され、現在はこの姿ではありません。(1986年3月27日撮影)
860327上田交通モハ5271舞田駅にて003.jpg
 舞田~八木沢間を行く元東急7200系の丸窓風電車(まるまどりーむ号)です。(2011年10月26日撮影)
111026舞田~八木沢間.JPG
 八木沢駅は昔と変わらない姿を留めています。(2017年10月15日撮影)  
レトロな矢木沢駅舎.JPG
 駅舎内の待合室もレトロなよい雰囲気です。(同上) 
171015八木沢駅待合室.JPG
 緑一色の田園風景の中を、丸窓電車(モハ5250形)と元東急5000系(クハ290形)がペアを組んで走って行く姿は絵になりました。(1985年8月22日撮影、八木沢~別所温泉間)
850822上田交通/別所温泉付近016.jpg
 40‰の急勾配を登りきって、別所温泉駅に到着する直前の風景です。車両は変わりましたが、この風景はいまも同じです。(1984年8月4日撮影)
840804別所温泉に到着する上田交通5261.jpg
 往時の別所温泉駅風景です。基本的には今も同じ姿です。(1975年7月20日撮影)
750720上田交通別所温泉駅にて004.jpg
 今は着物に袴姿の観光駅長さんがむかえてくれます。
DSCF4943.JPG
 別所温泉の駅舎も昔のまま。レトロなその姿には、何度訪れても親しみを感じます。桜の季節はご覧のとおりのすばらしさです。
090416桜咲く別所温泉駅.JPG
 駅舎内もこの雰囲気。降りてみたくなりませんか。
171015別所温泉駅舎内部.JPG

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