延伸された「ゆいレール」に乗って

 沖縄を初めて訪れたのは、今から38年前の1981年です。47都道府県の中で、最後の訪問県となってしまったのですが、その理由は、戦後長い間沖縄には鉄道が存在せず、鉄道全線乗車を目指していたポン太にとって、旅先を選ぶ際の優先度が低かったからです。 1980年に全線乗車を達成したことで、沖縄に行ってみたいと思うようになり、その翌年に、新婚旅行で初めて訪れることができました。正規の鉄道は無くても、沖縄のどこかに「鉄道」が存在していないか探したところ、南大東島にサトウキビ運搬用の軌道があることを知りました。これはもう行くしかないと、那覇から南大東島まで足をのばしたのですが、もしかすると、同島初の新婚旅行客だったかもしれません。
 実は、戦前の沖縄には県営鉄道をはじめ、複数の鉄道が存在しました。しかし、鉄の暴風雨と形容される米軍の猛攻により壊滅し、復活することはありませんでした。モノレールという別の形で鉄道が甦ったのは、敗戦から58年も経ってからです。2003年8月10、沖縄都市モノレール(ゆいレール)那覇空港~首里間12.9kmが開業。その直後に乗車し、全線乗車記録を更新したことはいうまでもありません。それから16年後の本年、延伸工事が完成し、10月1日に首里~てだこ浦西間4.1kmが開業しました。当然乗車する必要があり、出かけてきたというわけです。
 ゆいレールからの展望は実にすばらしく、那覇市の全貌が把握できるといっても過言ではありません。那覇に来て移動にモノレールを利用しないのは、姫路に行って姫路城を見ずに帰るようなものです。久しぶりに眺めた那覇市の印象は、高層ビルが増えて都会的色彩が濃くなっていたこと。那覇市の人口は32万人で、全国的にみれば中堅クラスの県庁所在地ですが、南国的明るさがあり、町歩きをしている観光客(とくに外国人)の数が多いせいか、人口では勝っている長野市(37万)などより、数段活気があるように感じました。
 終点のてだこ浦西まで乗車したことはいうまでもありませんが、1日乗車券を利用して、途中駅でも乗り降りし、新たに「発見」した「お宝」もありました。ポン太が興味を覚えた場所やモノをいくつかご紹介したいと思います。

 那覇空港に隣接したゆいレールの那覇空港駅です。
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 那覇空港駅は日本最西端の駅であり、改札口の脇にこんな表示があります。ちなみにお隣の赤峰駅は日本最南端の駅です。
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 市の中心部、旭橋駅と県庁前駅間を行くゆいレールです。高層ビルが増え、ちょっとした大都市にやってきたような気分になりました。
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旭橋駅近くの那覇バスターミナルが戦前の県営鉄道那覇駅跡です。近年、再開発中に転車台跡が発掘されたということで、移転修復作業を経て、本年6月から一般公開されています。
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 真上からみるとこんな感じです。直径は約6.8mだそうです。国鉄で最小の転車台は40フィート(約12.6m)でしたから、その約半分というスモールサイズです。しかし、沖縄県営鉄道は軌間762mmで車両も小さく、これでも十分な大きさだったのでしょう。
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 掲示してあった写真をみると、那覇駅構内はかなり広かったようです。
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 今回使用した一日乗車券です。2つの特色がありました。1つは磁気式ではなく、バーコード(QRコード)式であったこと。交通機関ではめずらしいですが、○○ペイといった決済サービスでそのまま乗車が可能になるため、そうした方式でのキャッシュレス化が一般化している中国からの観光客など、インバウンド対策として有効である由。JRも検討中とのことなので、いずれはこれが主流になるのかもしれません。もう1つは、一日乗車券の有効期限が購入から24時間となっていたこと。1日=当日であれば、午後からの購入をためらう場合もありますが、24時間有効であれば翌日にまたがって使用できるので、大変便利です。これは全国の交通事業者も見習って欲しいですね。
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 これがバーコード式の自動改札機です。
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 延伸された首里から先の区間には、石嶺、経塚、浦添前田、てだこ浦西の4駅がありますが、経塚から先は那覇市ではなく浦添市となります。ゆいレールが初めて那覇市外にでたわけです。これは経塚付近を走行中の車内からみた風景ですが、並んでいるのは家ではなく、沖縄独特のお墓です。
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 新たな終点となったてだこ浦西駅に到着しました。
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 「てだこ」という駅名が気になって調べてみたところ、太陽の子という意味だそうで、「太陽のように輝く町」という願いがこめられているようです。琉球第二の王統、英租王の敬称でもある由。
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 てだこ浦西駅の先は、このようになっていました。将来の延長に備えた構造にしてあるということですが、3km余り先の西原町には琉球大学のキャンパスがあり、さらにその先には宜野湾市がありますから、実現する可能性はかなりありそうです。しかし、今回の延伸までに16年を要していることを考えると、はたして自分自身が元気なうちに乗ることができるかどうか・・・。
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 てだこ浦西駅の外観です。駅前に高速バスターミナルを整備するということですが、すぐ近くを高速道路が通っていますので、ここで乗り継げば名護など本島の北部エリアに短時間で行けるようになるようです。
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 首里付近を行くゆいレールです。先日の火災で正殿などが焼けてしまった首里城のことが気になり、首里駅で下車してお城の周囲をめぐってきました。
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 世界遺産の城壁は健在で、美しい姿を保っていましたし、観光客もそれなりに来ていましたので、少し安心しました。
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 城壁の後ろに見える焼け落ちた建物の姿には心が痛みます。一刻もはやい再建を願うばかりです。
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 モノレールの車窓からも首里城がよく見えます。那覇のシンボルであるこの城が燃えている様子を見た市民のショックがどれほど大きなものであったか、容易に想像できます。
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 那覇市のメインストリート、国際通りの入口には大きなシーサーが立っています。その上をゆいレールが走る姿は、いかにも現代の那覇という感じがして、ポン太には好ましい景観に見えました。
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 その国際通りですが、最初に訪ねたころと比べると、ずいぶんあか抜けた感じがしました。
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 今回訪ねてみたかった場所の1つが、ゆいレール展示館です。那覇空港駅から徒歩数分の本社敷地内にある施設です。行き方を駅員さんにたずねたところ、用意してあった地図を渡してくれました。同じ質問をする人が少なくないということでしょうか。
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 1階が、ゆいレールの展示コーナーになっていて、建設の経緯や工法などを知ることができます。
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 2階には沖縄の鉄道全般の展示コーナーがあり、貴重な沖縄県営鉄道のレール(手前側)や沖縄電気軌道(那覇の市内電車)のレール(奥側)も展示されていました。
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 沖縄以外の鉄道グッズも多数展示されていますが、それらは、鉄道愛好家のゆたかはじめ氏(本名石田穣一、元東京高裁長官、退官後沖縄に移住)が寄贈した、ご自身のコレクションです。あまりにも膨大な量で圧倒されました。
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 ポン太が新婚旅行で訪れた、南大東島のサトウキビ運搬用軌道のレールや犬釘まで展示されていて、懐かしさを覚えました。
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 南大東島のサトウキビ運搬用軌道は、今は存在していませんが、1981年に訪れた当時は、このような姿でした。
810118南大東島サトウキビ軌道の「列車」.jpg

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