桜でたどる中山道

 国内の「コロナ」感染者が1万人を超えたという大変な事態の最中に、桜だ花だ山歩きだと、何を能天気なことを言っているのだとお叱りを受けるかもしれません。緊急事態宣言対象地域が全国に拡大し、その中にはわが信州(長野県)も当然含まれておりますし、阿部県知事は、県民に対して、外出の自粛と県外への移動をやめるように要請しております。
 ムムッ、これはいよいよ、巣ごもりに入る以外にないかと思ったのですが、新聞記事をよく読むと、食料品の買い物や通院など、生活の維持に必要な外出は対象外としているほか、健康維持のための散歩等はむしろ必要で、中山間地では家を出ても人と会わないことがあり、外出を過度に自粛する必要はないとのこと。そうであれば、桜や花を愛でながら、誰もいない小径や野山を逍遙するのは、健康維持の為に必要な散歩の範疇と考えてよさそうです。徘徊好きのブラタヌキとしてはだいぶ気が楽になりました。
 考えてみれば、浅間山麓の森の中での暮らしでは、これまでも外出時に人と出会うことはほとんどなく、連れ合い以外の誰とも話すことなく一日が終わるようなことが、むしろ普通でした。人との接触を避けるという意味での「自粛」は、すでに日常的に実行していたわけで、それにプラスして実践すべきは、県外へ出ず、人の集まる場所へは行かないということぐらいでしょうか。
 佐久平一帯はいよいよ本格的な桜のシーズンをむかえました。身近な中山道をたどりつつ桜の様子を眺めてみるのもよかろうとでかけてみました。旧道を歩いている人は皆無と言ってよく、「人との接触」などまったく心配なし。芭蕉も新選組も皇女和宮もたどったこの歴史の道は、いつ歩いても興味深いものですが、桜が咲いているとより一層気分が盛り上がります。江戸から21番目の小田井宿から26番目の芦田宿の手前まで、中山道とその周辺の桜を探って歩いてみました。
 なお、これはあくまで、健康維持に必要な散歩の余滴としての花見です。タヌキが悪知恵を働かせているわけではありませんので、ご理解ください。散歩もままならず、ストレスを蓄積されている都市部の皆様には申し訳ないことではありますが、ポン太の拙い写真が些かでも癒しの足しになれば幸いです。

 浅間山麓の追分宿で北国街道と分かれた中山道が、佐久平の岩村田宿へむかって下っていく途中にあるのが小田井宿です。小さな宿場ですが、出桁造りの問屋の建物などが残っており、往時の面影をかなり留めています。桜前線はここまで這い上がっていました。
DSCF9935.JPG
 小田井宿本陣跡の桜です。皇女和宮はここで休憩した御礼に、人形を手渡したといわれています。
小田井宿本陣の桜.JPG
 小田井宿の宝珠院というお寺のみごとな枝垂れ桜です。樹齢はおよそ300年と推定されているそうですから、江戸時代の旅人もこの桜を眺めたかもしれません。
小田井宿宝珠院の枝垂れ桜.JPG
 千曲川の渡河地点に設けられたのが塩名田宿です。このあたりの千曲川は急流で、しばしば橋が流され、船を繋いで板を渡した「船橋」が用いられた時代もあったそうです。現在の橋(中津橋)は1931年に架けられた鉄橋で、日本百名橋の1つに選ばれています。この写真は、橋を渡った対岸から塩名田宿側を見たところです。橋のたもとの桜が満開でした。
塩名田の桜.JPG
 次の八幡宿へむかう道沿いの桜です。ここには御馬寄という、いかにも旧街道らしい地名がついています。
御馬寄の中山道と桜.JPG
 望月宿へ至る途中には、旧道がそのまま残っているところがあります。
中山道旧道(布施の湯入口付近)の桜.JPG
 旧道が国道に合流する箇所の桜もきれいでした。
DSCF0036.JPG
 望月宿の手前に瓜生坂というところがあり、そこを下って望月宿に入っていくのですが、そのあたりの雰囲気がポン太は大好きです。桜の下に見えている細い道が旧中山道です。
望月宿入口の桜.JPG
 望月宿へは鹿曲川を渡って入ります。川岸の絶壁を穿って弁財天が祭られていますが、往時の旅人たちもこの風景を眺めたのではないでしょうか。弁財天の入口に「駒曳の木曽や出るらん三日の月」という去来の句碑がありました。
鹿曲川と弁天窟.JPG
 望月宿の近くにある望月城址に登ってみました。桜は五分咲きぐらいで、花の間から望月宿を見下ろすことができました。
望月城址からみた望月の街並み.JPG
 望月宿を出て芦田宿方面へむかう中山道です。特別何があるというわけでもなく、歩いている人もいませんが、桜が咲いているだけで嬉しくなります。
旧中山道 茂田井宿手前.JPG
 望月宿と次の芦田宿との中間にあるのが、茂田井(もたい)宿という間の宿(あいのしゅく)です。その街並みはこれぞ中山道というすばらしさ。歩いて絶対損はありません。
茂田井宿.JPG
 茂田井宿の中を歩いて行くと、屋根のむこうに満開の桜の山が見えてきて、気分が高揚します。
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 茂田井宿の西側の入口にあるバス停です。ここに座ってお花見ができそうですね。
茂田井バス停留所.JPG
 茂田井宿付近を南側から眺めたところです。浅間山を背景にしたのどかな風景が広がり、癒されます。
茂田井宿遠望.JPG
 茂田井宿からすこし山の中へ入ったところに、大同2年(807年)の開基と伝わる真言宗の古刹、福王寺があります。初めて立ち寄ってみたのですが、宝永年間に植えられたという樹齢およそ300年の枝垂れ桜が満開で、ごらんのとおりのすばらしい景観でした。。
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 少し違う角度から見ても、見事としか言いようがありません。
福王寺の樹齢300年の枝垂れ桜.JPG
 山里に位置するこのお寺のロケーションもまたすばらしいものがあります。こんな鄙びたところまでやってくる著名人はいないだろうと思ったのですが、山門前の石碑をみると、なんと皇太子時代の今上天皇が訪れていました。
ロケーションもすばらしい福王寺.JPG
 中山道からは少しはずれますが、前回のブログで2~3分咲きとお伝えした平尾山山麓の桜があっというまに満開となりました。
DSCF0097.JPG
 桜のむこうに浮かぶ浅間連峰の黒斑山が、まるでマッターホルンのようです。
DSCF0089.JPG
 こちらは蓼科山です。いつもの風景が桜に彩られると別物になります。桜の種類は違いますが、高遠に匹敵する風景ではないでしょうか。
DSCF0090.JPG
 桜の花に包まれる幸せ。やはり花があってこその春です。
DSCF0082.JPG


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