山里で春探し

 東京では桜が満開になったということですが、こちら浅間山麓では、桜どころか梅もまだほんの一部でしか咲いていません。木の枝の先端に生気は感じるものの、芽吹きはまだまだ先です。
 信州(長野県)は全国で4番目に面積が広く、しかも南北に長い県ですから、浅間山麓とは季節の進み具合が異なる地域がたくさんあります。最南端の天龍村からは桜の開花が伝えられていますが、北部(北信)では、ようやく雪が解けて、フキノトウが顔を出し始めたところでしょう。そうした山里の風情は、いかにも春が来たという感じがして、ポン太は大好きです。天気の良い日を見計らい、フキノトウの入手も兼ねて、長野市西部の旧中条村、旧七二会(なにあい)村の山里に出かけてみました。
 今は長野市域に入っているとはいえ、この一帯は山また山の純然たる山村です。車一台がやっと通れる急カーブと急勾配が連続する道を登って行った先に、いくつもの集落があります。山の斜面に民家が点在し、重畳たる山並みのむこうに北アルプスの白き峰々が屹立する様は、これぞ「ザ・日本の山里」といっても過言ではありません。
 暖冬の影響か、雪はすっかり消えていて、フキノトウも食用にするには大きくなりすぎているものが多かったのですが、それでも天ぷらにちょうど良いレベルのものをいくつか確保することができました。棚田の土手が少し青みがかり、水仙や菜の花が咲いているところもありました。遠くの山々が霞んでいるところも、いかにも春らしい雰囲気です。虫倉山山麓の山道では、今年初めてカモシカに遭遇しました。カモシカも春を感じて山から出てきたのかもしれません。
 旧七二会村の小坂地区は、福寿草の群生地として知られているところです。福寿草といえば、今まで庭の片隅や鉢植えでしか見たことがなかったのですが、山の斜面を覆い尽くすほどの大量の福寿草に圧倒されました。
 家にもどった後、持ち帰ったフキノトウを天ぷらにし、蕎麦と一緒に食べました。独特の香りとほろ苦さが口中に広がり、春探しの成果が、身体の中にも染み渡った一日となりました。

 旧中条村の美しい棚田です。
旧中条村の風景.JPG
 山里に春が来たことを感じさせてくれる風景です。
山里の早春.JPG
 こちらの民家も、絵に描きたくなるような佇まいです。
絵のような山里.JPG
 水車小屋のまわりの日差しにも暖かさを感じます。
虫倉山のふもと.JPG
 棚田の傍らの水仙も咲きはじめていました。
棚田の春.JPG
 土手のフキノトウは少し大きくなりすぎていますが、春の山里らしい風景です。
DSCF8184.JPG
 虫倉山の麓は山姥の里といわれています。といっても、このような子供にやさしい山姥だったそうです。背後の山並みが青く霞んで、春の訪れを告げているようでした。
やさしい山姥の里.JPG
 こちらは旧七二会村の山間部に位置する小坂という集落です。「福寿草祭り」ののぼりが立つ坂を下った先に、福寿草の群生地が存在します。
福寿草まつりののぼり.JPG
 福寿草祭りといっても、地元有志によるこのような簡素なもので、「密」ではありません。ここから徒歩で群生地にむかいます。
福寿草まつり.JPG
 福寿草の前に、五分咲きの梅がむかえてくれました。浅間山麓よりも開花が少し早いようです。
梅も咲いていた.JPG
 これが群生地に通じる道です。およそ500mほど坂道を下ります。
福寿草群落への道.JPG
 だんだん道は細くなり、この奥に本当に群生地があるのか不安になりますが・・・。
DSCF8208.JPG
 群生地が見えてきました。大変な急斜面です。
急斜面を覆う福寿草.JPG
 見学者のためのデッキが設置されていました。
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 群生地というだけあって、おどろくほたくさんの福寿草が咲いています。
七二会小坂の福寿草群生地.JPG
 一度にこれだけの数の福寿草を見たのは初めてです。
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 群生地の下部へ降りていく階段も設置されており、その脇にもたくさんの福寿草が咲いていました。
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 ここは福寿草だけでなく、アズマイチゲの群生地でもあるそうで、すでに咲き始めたものもありました。
咲き始めたアズマイチゲ.JPG
 家にもどってから、フキノトウの天ぷらをつくりました。蕎麦とはベストマッチングで、これほど春を感じる食べ物はありません。
フキノトウの天ぷら.JPG